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シビックプライドを持ったグローバル人材

「国際理解教育」から「国際教育」へ


私も国際教育に関わって4年目になりますが、いつもこのことを意識しながら学校経営に当たってきました。
「国際理解教育」
 他の国や異文化を理解する教育
 ■育む資質・能力
  ①異文化を理解し、これを尊重・ 共生できる資質・能力
  ②自己の確立
  ③コミュニケーション能力
「国際教育」
 国際社会において、地球的視野に立って、主体的に行動するために必要と考えられる態度・能力の基礎を育成するための教育
 ■育む資質・能力
 ①異文化や異なる文化を持つ人々を受容し、「つながる」ことのできる力
 ②自らの国の伝統・文化に根ざした自己の確立
 ③自ら発信し行動することのできる力

国際教育で育てたい人材を「グローバル人材」とすると、それはどのような人なのか。
以前、世界的な分析・計測機器の総合メーカーの「堀場製作所」の堀場厚会長にお会いしてお話をした中で、次のような趣旨のお言葉をお聞きしたことがあります。
・堀場のグローバル化は、日本人をグローバル化して海外の人材をマネジメントすることではない。
・むしろ、海外の人材をグローバル化して日本・京都の堀場と一体化させること。
・海外とのビジネスにおける対話の中では、自分の国や地域、自分の会社のことを深く理解して誇りをもちながら、自分の考えを話せることが大切である。

また、学校が、自校の国際教育で育てたい生徒像を言葉にすると、生徒にとってなりたい姿を現すことができます。例えば京都市立日吉ケ丘高校は「世界をつなぐ越境者」としています。
さて、ニセコ高校はどんな生徒を育てたいのか、それを表す言葉は何が良いか、職員とともに思案していましたが、現時点でこの言葉で表そうと思っています。 

「シビックプライドを持つグローバル人材」

ニセコ高校ホームページ
https://niseko-highschool.jp/wp-content/uploads/2023/06/jinzai_ikusei202306_compressed.pdf

シビックプライドとは、「街に対する住民の誇り」という意味合いで使われることが多く、「郷土愛」に似ていますが、郷土愛が「ふるさと=生まれ育った地域」に対する感情であるのに対して、シビックプライドは「特定の地域」に対する感情になります。そのため、ふるさとに限らず、移住先や自分が関心を寄せている地域なども含むものと言われています。
ニセコ高校では、地元で生まれ育った生徒だけでなく全国から集まる生徒が、ニセコ町という国際性豊かで美しい雄大な自然に恵まれた地域をフィールドとして学びます。
そこで、ニセコ町の課題が世界の課題と共通であることに気づき、その課題を解決することを通して、ニセコ町や自分の関心のある街に対して誇りや深い思い入れをもって、より良い地域を協創することができる人を育てたい。
その活躍のフィールドは、きっとニセコ町にとどまらず、全国・全世界に広がるはずです。
シビックプライドを持ったグローバル人材」には、そんな願いが込められています。

先日、全国生徒募集のプラットフォームである「地域みらい留学」の学校紹介サイトの「地域とのつながり、地域の魅力 説明」に、ニセコ高校の生徒が次の文章を書いてくれました。
きっと「シビックプライドを持ったグローバル人材」に育ってくれるでしょう。
------ 原文のまま ------
ニセコが誇る、最上級の雪質。ニセコが誇る、寛大な羊蹄山。そして、世界から注目されるグローバルリゾート。私達の自慢のまちです。『ここは海外?』もしもあなたがニセコに来たら、真っ先にそう思うでしょう。パスポートのいらない留学ができるのは、ニセコ町ならではの魅力です!ニセコ町に訪れる観光客の多くが外国人であり、そのほとんどがニセコの上質なパウダースノーを求めにやってきます。
ニセコ町の魅力は冬だけではありません。
羊蹄山の麓で育った新鮮な野菜、ラフティングや、ジップラインなどの夏にしか楽しめないアクティビティ。夏のニセコも魅力に溢れています。
冬は一面銀世界、夏は一面緑の大地が広がるニセコ町。四季を五感で感じられます。

”日本とは思えないニセコ町”を創ったのは、まさに多様性に溢れた地域住民の方々なのです!ニセコ町の住民が大切にしている言葉には、『相互扶助』というものがあります。『相互扶助』は、約100年前、ニセコの基盤を創った有島武郎がこの言葉をニセコ町に広め、みんなで力を合わせ、助け合う精神を伝えていきました。『誰一人取り残さない』
そのために、私達ニセコ高校生と住民の方々には、フレンドリーで柔軟、多種多様な関わりがあります!

未来の子どもたちに引き継ぐことができる「相互扶助社会」づくり、「持続可能なまち」づくりの取り組みは、SDGsの目標達成に貢献しています。また、2018年には、SDGs未来都市に認定され、地域を活性化させるための新たな盛り上がりを見せました。

「地方創生SDGs」として、持続可能なまちづくりや地域活性化のために、SDGsの考え方を取り入れながら、目標達成に向けて周囲を巻き込みながら推し進めています。
そんな地方創生に携わる存在として、「地域おこし協力隊」がニセコ町内の様々な場所で活動しています。実際に、年に4回程度ニセコ高校に来ていただき、「グローバル人材育成講話」でとても面白い話を聞かせていただいています。また、ニセコ町のCIR(国際交流員)の方々と、イベント開催をして異文化交流をし英語学習に協力してもらうなど、カルチャーエクスチェンジを通して様々な価値観が生まれる時間となっています。
『地元住民×地域おこし協力隊×CIR×ニセコ高校生』は、ニセコを盛り上げるヒーローです!

また、ニセコ高校4年生が考えた「ぶどう畑のフットパスツアー」では、ぶどう畑を歩くことで自然を楽しみながらニセコ(近藤エリア)の魅力を感じてもらうことができます。フットパスを取り入れることでCO2削減に繋がります。ツアーに参加した人の交流の場を大切にし、多様性を認めることをコンセプトに掲げ、一昨年、開催を実現しました。

住民みんなが利用する「ニセコ 町民センター」には、古着回収ボックスが設置されています。住民が協力しあい、持続可能なリサイクルをしています。また、町民センターは、地中熱ヒートポンプと太陽光発電(追尾式)の導入によって、CO2の排出量低減と、光熱費の削減につながっています。みんなが使う町民センターがクリーンになっていることで、身近にエコでSDGsな取り組みを学ぶことができます。

このような多様な学びができるのはニセコ町だけです!ぜひニセコ高校でみんなと学べることを楽しみにしています!!
ニセコ高校 3年生 長谷川凜 大友優空
      2年生 工藤浪子 佐藤優香


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